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イオージマ級

【第89回】イオージマ級  <揚陸艦>


 「イオージマ」級強襲揚陸艦は、アメリカ海軍の強襲揚陸艦(ヘリコプター揚陸艦:LPH)の艦級。世界初の新造ヘリ空母として、1961年から1970年にかけて7隻が就役した。フル装備の海兵連隊上陸チーム、増強編成のヘリコプター飛行隊および支援兵員を乗せることができた。

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ヘリコプターでの攻撃の有用性

 「1950年9月の仁川上陸作戦で水陸両用作戦の価値が実証され、また朝鮮戦争を通じてヘリコプターの有用性が確認されたことから1951年7月、海兵隊総司令官はヘリコプターによる空中強襲という構想を抱いていた。これに伴い、その母艦となるヘリ空母も検討されるようになったが、この時点では、攻撃輸送艦(APA)および攻撃貨物輸送艦(AKA)にヘリ空母を組み合わせたものであった。
 護衛空母であった「セティス・ベイ」(CVE-90)がヘリコプター搭載強襲揚陸艦(CVA-1、後にLPH-6)に改造された1955年以来、アメリカ海軍はアメリカ海兵隊に垂直空輸能力を提供してきた。第二次世界大戦時の改良型護衛空母の設計に則って建造された「イオージマ」級は、中央の箱型格納庫の前後にアメリカ海兵隊歩兵連隊上陸チームのための収容設備を有していた。またこのクラスは、ヘリコプターの搭載および運用専門に設計された世界最初の艦であり、したがってカタパルトや着艦拘束ワイヤは備え付けられていなかった。飛行甲板ではCH-46シー・ナイト最大7機、CH-53シー・スタリオン最大4機を同時に運用・回収することが可能であった。頭上高6.1mの格納庫にはCH-46 19機またはCH-53 11機を収容することができた。通常の航空団はCH-46、CH-53、AH-1およびUH-1ヘリコプター合計24機から成る混成団であった。
LPH-2、LPH-3、LPH-11、LPH-12では折り畳み可能な制限重量22,727kgのエレベーター2基が外舷に搭載されていたが、LPH-7、LPH-9、LPH-10ではエレベーターの制限重量は20,000kgに削減されていた。ダビット(腕架)に2隻のLCVP
(車両人員揚陸艇)を積んでいたLPH-12を除いて、これらの艦は上陸艇を積載していなかったため、艦上のアメリカ海兵隊員のために運ぶことができる装備の大きさは限られていた。貨物室から飛行甲板へパレット状貨物を運ぶために2基の小型エレベーターが備えられ、軽車両と牽引式火砲用の小型駐車区画も有していた。

臨時の制海艦

▲「イオージマ」は、 硫黄島の戦いにちなんで名付けられた。

 1972〜74年に、LPH-9はAV-8AハリアーおよびSH-3シー・キング対潜(ASW)ヘリコプターを搭載して臨時の制海艦(SCS)として運用された。再びLPHに転換された後も、同艦に試験的に取り付けられた空中・水上目標類別解析センター(ASCAC)は残された。他に数隻のLPHがアメリカ海軍のRH-53ヘリコプター掃海(機雷除去)部隊を乗せた掃海母艦として運用されている。これらの艦は1973年には北ベトナムの港で、1974年にはスエズ運河で機雷除去任務を実施した。ヘリコプターの運用にあたっては、飛行甲板の艦橋にある専用の指揮管制センターから管制が行われた。LPH-10を除く全艦がLCC(揚陸指揮艦)と同じ衛星通信機器を積み、LHA(汎用強襲揚陸艦)と同じベッド300床の医療設備を備えていた。
 「イオージマ」級は、4隻が大西洋艦隊、3隻が太平洋艦隊で活動した。機雷戦指揮艦(MCS-12)に改造された「インチョン」を除いて、1992年から1998年にかけて6隻が退役し、「インチョン」も2002年に退役した。 なお、「ニューオーリンズ」は、除籍保管後の2010年、ハワイ諸島沖にてRIMPAC 2010における実艦標的として用いられ、多数の砲弾と航空爆弾、及び対艦ミサイルの実弾射撃を受けた末に沈没した。

諸 元

イオージマ級
同型艦(艦番号/就役日):「イオージマ」(LPH-2/1961年8月26日)、「オキナワ」(LPH-3/1962年4月14日)、「ガダルカナル」(LPH-7/1963年7月20日)、「グアム」(LPH-9/1965年1月16日)、「トリポリ」(LPH-10/1966年8月6日)、「ニュー・オーリンズ」(LPH-11/1968年11月16日)、「インチョン」(LPH-12/1970年6月20日)
排水量:満載18,300t
寸法:全長183.7m、全幅25.6m、吃水7.9m
推進器:ギアード蒸気タービン1基で出力22,000馬力を供給し、1軸を駆動
速力:最大23kt(43km/h)、巡航20kt(37km/h)
貨物:計399.6m2の車両駐車区域、LCVP 2隻(LPH-12のみ)、格納庫内に最大19機+甲板上に7機のCH-46、24,605rのMOGAS(自動車用ガソリン)、1,533,090rのJP5航空機燃料、1,059.8m3のパレット状貨物
兵装:連装Mk33 76mm対空砲2基、8連装Mk25シー・スパローBPDMS発射機2基、20mm Mk16ファランクスCIWS 2基
電子機器:AN/SPS-10水上捜索レーダー1基、AN/
SPS-40対空捜索レーダー1基、AN/SPN-10またはAN/SPN-43航空機着艦支援レーダー・システム1基、Mk36スーパーRBOCチャフ発射機および関連ESM 1基、AN/URN-20 TACAN 1基
乗員:652名(士官47名+下士官605名)
兵員:2,090名(士官190名+下士官1,900名)

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2020/05/27


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