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ゴルフ級 ホテル級

【第92回】ゴルフ級 ホテル級  <潜水艦>


 「ゴルフ」級潜水艦とホテル級原子力潜水艦は、ソビエト/ロシア海軍が運用していた弾道ミサイル潜水艦。「ゴルフ」級は、1・2・3・4・5型のサブタイプが存在する。一方、「ホテル」級は、ソビエトの潜水艦発射弾道ミサイル搭載潜水艦としては、原子力機関を搭載した最初のタイプである。

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「ゴルフ」級

▲ゴルフ II 級潜水艦。「ゴルフ」級22隻のうち、14隻はSS-N-5に換装されて「ゴルフII」級となった。

 ソ連のプロジェクト629は、核弾頭ミサイルを搭載した22隻の通常動力型潜水艦で、NATO名では「ゴルフ」級と呼ばれた。「ホテル」級原子力潜水艦より1年前の1955年に認可された「ゴルフ」級は、同じSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)のR-13(NATO名SS-N-4)を搭載していた。1番艦は1958年にセヴェロドヴィンスクで進水し、14隻が続いたが、その後の7隻は太平洋艦隊向けにコムソモルスク・ナ・アムールで建造された。これらは1959〜62年に就役し、20年あまりにわたって現役にとどまった。
 「ゴルフ」級のK-36とK-91は太平洋艦隊に移され、6隻は晩年をバルチック艦隊で過ごし、K-113は機雷敷設艦に転換された後、1974年に廃棄処分された。その他の艦は1980〜91年に退役した。
 K-129は1968年4月11日にハワイ北西約970kmで乗組員全員とともに行方不明になったが、遭難時の状況は秘密のベールに包まれている。ソ連はK-129の位置を特定しようとしたが果たせず、アメリカが発見した。当時、「ゴルフ」級はすでにソ連艦隊の中で最新型ではなかったが、K-129は核弾頭ミサイルと関連管制装置に加えて、ソナー、レーダーや通信装置も装備していたので、これらはアメリカにとって思いがけない収穫になると考えられた。
 こうして「プロジェクト・ジェニファー」と名づけられた回収作戦が立案され、作業のためにハワード・ヒューズの資金提供により63,000tの船「グロマー・エクスプローラー」が特別に建造された。K-129は、1974年9月にCIAとアメリカ海軍によって引き揚げられたが、この作業は極秘のうちに進められ、詳細の多くが今も明らかにされていない。公式には、クレーンが折れたために船体すべてを引き揚げることができず、船体の11.6m部分と乗組員8名の遺体がアメリカ側の手に入り、その後、遺体は再び海に葬られたことになっている。また魚雷2発から戦術核弾頭が回収されたが、SLBMは海底に落下したとされている。暗号装置がアメリカの手に渡った可能性もあるが確認されていない。
 3隻の「ゴルフ」級潜水艦が核ミサイルを装備せずに中国へ提供され、そのうち1隻は事故で沈没している。中ソ関係の破綻に伴い、1960年にソ連の専門家たちは中国から引き揚げたが、中国は1966年に「ゴルフ」級とほとんど同一の弾道ミサイル潜水艦を進水させた。この艦は今も現役で、1982年に中国最初のSLBMであるJL-1(CSS-N-3)発射試験に使用された。1995年にはJL-2(CSS-N-5)に換装され、1999年以降は、射程約12,000kmという中国初の地球の裏側に達する潜水艦発射ミサイルの試験に使われている。

「ホテル」級

▲「ホテルII」級潜水艦。SS-N-4ミサイルは「ホテルII」級でSS-N-5に換装された。

 NATO名で「ホテル」級と呼ばれたソ連初の原子力弾道ミサイル潜水艦は、ソ連では「プロジェクト658」と名づけられていた。その1番艦は1958年10月17日に起工され、1960〜62年にセヴェロドヴィンスクで8隻が竣工、全艦とも1988〜91年に退役している。
 建造時「ホテル」級は、R-13核弾頭ミサイル(NATO名SS-N-4)3発をセイル内に垂直に搭載していた。全長約12mのミサイルを収納するため、セイル後方の下部キール内にバルジのスペースが設けられていた。同ミサイルの射程は650kmで、現在の基準からすると非常に短く、アメリカを射程内に収めるためにはバレンツ海の基地から大西洋を横断しなければならなかった。ミサイル発射時には浮上する必要があり、3発すべてを発射するのに12分を要した。その後、「ホテル」級はミサイルの発射装置を変更して水中発射が可能となり、「ホテルII」級と呼ばれた。
 K-19は歴史上最も悪名高いソ連原潜で、相次ぐ原子炉故障で乗員2チームが放射能を浴びたことにちなんで「ヒロシマ」潜水艦として知られている。最初の惨事は1961年7月4日に発生した。原子炉からの放射能漏れが検出されたことから、修理のため乗員数名が、死を覚悟して放射能汚染区画に入った。だが修理は不可能であることが判明して、乗員は作業を中止し、K-19は曳航されて帰港した。その後間もなく8名が被爆による火傷で死亡し、乗員の癌発症率は極端な高率に上った。
 K-19の原子炉は1962〜64年に交換されたが、1972年2月4日にニューファンドランド沖でパトロール中に火災が発生した。30隻以上の艦船が救援に駆けつけたが、28名の乗員の命が奪われた。2002年に公開された映画『K-19』は、このときの事件に基づいて製作されたものである。この不運な潜水艦は最終的に1991年に退役した。

諸 元

ゴルフ級(プロジェクト629)
排水量:水上2,794t、水中3,553t
寸法:全長98.4m、全幅8.2m、吃水7.9m
推進器:ディーゼル3基で6,000馬力を供給し、電動機で3軸を駆動
速力:水上15kt(28km/h)、水中12.5kt(23km/h)
潜航深度:運用260m、最大300m
兵装:(「ゴルフI」級)R-13(SS-N-4)ミサイル3発用D-2ミサイル・システム (「ゴルフII」級)R-21(SS-N-5“サーク”)ミサイル3発用D-4ミサイル・システム
電子機器:“スヌープ・トレイ”または“スヌープ・プレート”捜索レーダー1基、ヘルクレス・ソナー1基、フェニクス・ソナー1基
乗員:約80名

ホテル級(プロジェクト658)
排水量:(「ホテルII」級)水中5,500t
寸法:全長114.0m、全幅9.2m、吃水7.3m
推進器:加圧水型原子炉2基、蒸気タービン2基、ディーゼル発電機2基により2軸を駆動
速力:水上18kt(33km/h)、水中26kt(48km/h)
潜航深度:運用240m、最大300m
兵装:(「ホテルI」級)R-13
(SS-N-4)ミサイル3発用D-2ミサイル・システム (「ホテルII」級)R-21(SS-N-5“サーク”)ミサイル3発用D-4ミサイル・システム
電子機器:“スヌープ・トレイ”水上捜索レーダー1基、ヘルクレス・ソナー1基、フェニクス・ソナー1基
乗員:104名

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2020/08/31


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